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市内電車とライトレールが合体

2020年3月21日
 富山駅の路面電車停留所が変わります。今回はこの件についてまとめてみます。ただし、これらは2020年3月15日現在の情報なので、その点にはご注意ください。
 まず、路線の変更点です。岩瀬浜発の電車の行き先が「環状線」「大学前」「南富山」の3系統になります。日中は15分間隔で1時間に4本です。そのうち2本(30分ごと)が「環状線」で、「大学前」と「南富山」はそれぞれ1本ずつです。復路の「岩瀬浜」行きも同様です。
 その他に今までどおりの市内電車・環状線も運行されます。「南富山」発の「富山駅」行きや「大学前」行きも日中は5分ほどの間隔で交互に運行され、その中に1時間に1本の「岩瀬浜」行きがあります。
 「大学前」からは日中10分間隔で「南富山」行きが運行され、その中に1時間に1本の「岩瀬浜」行きがあります。
 環状線は日中15分間隔で運行され、「富山駅」で「岩瀬浜」行きと、再度「環状線」に戻る電車が交互に運行されます。
 このように文章で書くととてもややこしいのですが、「富山駅」で乗り換える可能性を前提に乗車するか、時刻表をある程度記憶しておけば、なれてくるのではないでしょうか。
 次に新しくなった「富山駅」の構造を説明します。南北と東西に太い自由通路が交差しています。南北通路の東側に沿って東西通路の南側が新幹線、北側が「あいの風鉄道」です。その向かい側、南北通路の西側が路面電車の「富山駅」停留所です。ホームはなんと8本もあり、それぞれの役割が違います。線路は2本、南北通路と平行に走っています。東西通路の南側に1番から4番ホーム、北側に5番から8番ホームがあり、2番と3番、6番と7番はそれぞれ背中あわせになっています。数字は東側(南北通路側)から順番に若い番号が付けられています。それぞれのホームの役割は以下の通りです。
 東西通路南側、東側から順に
  1番ホーム 南富山方面
  2番ホーム 降車専用
  3番ホーム 環状線
  4番ホーム 大学前方面
 東西通路北側、東側から順に
  5番ホーム 岩瀬浜方面
  6番ホーム 降車専用
  7番ホーム 降車専用
  8番ホーム 岩瀬浜方面
 安全のための注意点としては、東西通路を西方向に歩く際は線路を横断することになります。音声での案内に加え、赤色照明による注意喚起があるようですが、通路から左右の線路にコースがそれてしまうと、おそらく転倒します。ホームが低いので転落して上がれなくなったり電車にひかれたりする心配は少ないですが、とても危険ですので、必ず点字ブロックの上を歩くようにしましょう。
 最後に運賃についてです。運賃は今までと同じで1回乗るごとに大人210円、小人・障害者110円(ICカードは大人180円、小人・障害者90円)です。ただし、「富山駅」などで乗り換えた場合、電車には計2回乗ることになりますから、運賃も2回払わないといけません。
 以上のように路面電車は便利になった反面、とてもややこしくなりました。みなさま、なれるまでは綿密な情報収集と慎重な行動をお勧めします。さらに「富山駅」では2020年4月27日(月曜日)に3か所の商業施設を同時開業する予定です。我々にとっては便利になるけど、なれるまでは不便という日々がもうしばらく続きそうです。重複しますが、綿密な情報収集と慎重な行動をお勧めします。大事なことなので2回書いておきました。

富山駅構内がほぼ完成

2020年6月1日
 富山駅構内、あいの風鉄道高架下の新施設がすべてオープンしました。これにより駅構内の施設はほぼ完成したことになります。南北の再開発工事はまだまだこれからですが、一区切りといったところでしょうか。
 今回新しくできたのは3施設、「のれん横丁」「EATS de Meets(イーツ デ ミーツ)」「セブンイレブン ハートイン」で、それぞれについて簡単に説明していきます。
1 「のれん横丁」には7軒の飲食店が入っています。
 「おひつごはん 四六時中」 おひつで海鮮丼が出てきて、香味やお茶漬けでも食べることができます。
 「テジカエン」 富山食材もたくさん使った韓国料理店で、テイクアウトもあります。
 「かに海鮮問屋 魚どん亭(ぎょどんてい)」 富山の海産物をその場で食べたり、お土産に買ったりもできます。
 「伝串(でんぐし) 新時代」 やきとりを中心とした居酒屋さんで、串50円から、ビール190円とお手頃価格のお店です。
 「氷見 牛屋(ぎゅうや)」 氷見牛の専門店で、焼き肉・しゃぶしゃぶ・ステーキ丼・あぶり握りなどがあります。
 「氷見きときと寿司」 富山の回転ずしのチェーン店で、ネタもシャリも富山県産にこだわっています。
 「麺屋つくし」 味噌ラーメンが人気のお店ですが、塩・醤油・中華そばもあります。
 建物の入り口は東西通路沿い、中央通路から東に90メートルほど進んだ左側で、とやマルシェの最も東側の出入り口の向かい側になります。「魚どん亭」のみは6~7メートルほど手前になります。建物に入ると左側に「きときと寿司」、正面に「つくし」、通路を右に進むと隣に「新時代」、突き当りに「テジカエン」、さらに通路を左に曲がってスロープ・階段を降りると右に「四六時中」、左に「牛屋」があります。
2 「EATS de Meets」にはお馴染みの飲食店が4軒入っています。
 「マクドナルド」、「サンマルクカフェ」、「はなまるうどん」、「8番らーめん」です。
 建物の入り口は東西通路沿いで、中央通路から西に15メートルほど進んだ右側です。「クラルテ」出入り口の向かい側です。「マクドナルド」のみ東西通路沿いの5~6メートルほど手前が入口になります。建物の入り口を入ると左側に「サンマルクカフェ」、奥に進むと右側に「はなまるうどん」、左側に「8番らーめん」があります。
3 「セブンイレブン ハートイン」は東西通路とあいの風鉄道の間、東西に細長い店舗で、出入り口は3か所あります。
 東西通路沿い出入り口は南北通路から東に6~7メートルほど進んだ左側と20メートルほど進んだ左側になります。また、あいの風鉄道の改札前にも出入り口があります。
 店内は東西の両端にそれぞれレジがあり、西側にはコンビニ、東側にはお土産が売られています。
 さて、ここまで観光案内のようにお店を紹介してきましたが、ここからは問題点です。
 まず、最大の問題として、入り口がわかりづらい。東西通路には点字ブロックがありますが、各店舗の入り口にアクセスする分岐はありません。また、東西通路沿いの壁面は全面ガラス張りでかべ(ガラス)とドア(ガラス)の区別がつきません。さらに、現在はやたらと開店祝いの花があふれていてとても危険です。全盲の方の単独歩行はもちろん、弱視でも視力の低い方はかなり慎重に歩かれることをお勧めします。正直言って我々にはあまり優しくない施設のようです。
 富山駅に関連して2点、問題提起をさせていただきます。
 1点目、路面電車の岩瀬浜方面行乗り場の問題です。現在、5番乗り場か8番乗り場に停車しますが、両乗り場の間には線路や別の乗り場があり、歩くと30メートル以上あります。教えてくれるのは高いところの電光掲示板のみで、間違った乗り場で待っているとおいて行かれることもあると思います。「日中は45分発のみ8番乗り場で、その他は5番乗り場」とのことですが、「その他は決まっていない」そうです。また、踏切の中に警備の方がいますので聞くこともできますが、とても不便です。なぜ、乗り場を6番・7番乗り場にしてくれなかったのでしょうか。今から変更できるのでしょうか。
 2点目、駅北の低床電気バスです。コロナの影響で導入時期は白紙とのことですが、実証実験も済んでおり、導入は時間の問題です。このバスは時速20キロ以下で、駅北と体育館を結ぶ小型電気バスです。それだけなら便利な話ですが、このバスの問題点はここからです。なんと、無人運転で歩道を走ります。もちろん今すぐに運転手のいないバスが歩道を走るわけではありませんし、安全対策も考慮されるとは思いますが、そもそも駅北ブールバールには花壇・置物・小川などの障害物が多く、自転車やスケボーの人もいました。さらにはこの先、オーバードホール、アーバンプレイスあたりに路面電車の停留場が作られる予定で、人の動きがますます複雑化します。これまで視覚障害者の歩行環境よりも景観や経済を優先した街づくりが進められている印象の強い中での「無人バス」はとても心配になります。
 今回は問題点やら心配やらネガティブなことの多い内容になってしまいましたが、「されるがまま」にならないよう、情報収集や発信のほか、富山市様や富山地方鉄道様とも視覚障害当事者としてお話していかなければならないことがわかりました。

とやまロケーションシステム

2021年3月29日
 今回は「とやまロケーションシステム」のお話です。
 これは県内すべての路線バスがどこを走っているかを調べることができるサイトで、パソコン、スマートフォンはもちろん、ガラケーからでも操作することができます。具体的には、出発地のバス停と到着地のバス停、そして出発時間または到着目標時間を入力すると経路や時間、運賃などの基本情報を教えてくれるほか、実際の乗車する予定のバスが現在どこを走行しているか、どの程度の遅れが出ているかも教えてくれます。 
 また、GPSの位置情報を送れば現在地の最寄りのバス停の位置や名前、位置(Googleマップと連携)、行き先、時刻表、さらにバスが近付いているのか、通過してしまったのかもわかります。
 さらに、いちいち操作して調べるのが面倒だったり、時間がかかったりしてしまう方にはMy設定で検索結果を登録して、よく使う路線を保存しておくこともできます。その上で設定しておけば、バスが近付いた時にメールが届くサービスもあります。これは設定時刻にアラームが鳴るのとは違って、実際のバスの動きに合わせてメールが届きますから、リアル情報を受け取ることができるのです。
 さて、ご紹介してきたように一般的な路線検索アプリよりも一歩踏み込んだ便利さのある「とやまロケーションシステム」ですが、我々、視覚障害者が使うには使いやすいのでしょうか。アプリではなくサイトなのでガラケーでも使えたり、拡大表示が容易だったりと一定の配慮はされているように思いますし、そもそも便利なものだと感じます。しかし、今後の更なる進化のため、我々視覚障害当事者が実際に使ってみて、問題点を挙げ、運営側に伝えていく努力は大切だと思います。また、バス利用そのものについても我々には不安と危険がいっぱいです。これに関した具体例はいくらでも思い浮かびませんか。このような我々の思いもバス会社に伝えて改善をお願いしていかなければいけませんね。
 以下に「とやまロケーションシステム」のURLと問い合わせ先を載せておきますので、ぜひ、皆さんも一度、試してみてください。
URL
 http://toyama.vtfm.jp
問い合わせ先
 富山県地域公共交通情報提供推進協議会
 事務局 富山県総合交通政策室
 電話 076-444-3123
追記
 4月1日より富山市の「まいどはやバス」が大きく変わります。路線・運賃・停留所など3月末とは違いますので十分ご注意ください。詳しくはとやまライトセンターよりメールなどでお知らせしておりますが、ご不安がありましたらお問い合わせください。
 とやまライトセンター(富山県視覚障害者福祉センター)
 電話 076-425-6761

富山市内電車

2021年5月5日
 今回は富山市内電車のお話です。
 まず、新しい情報として、電停が2か所に新設されました。富山駅から岩瀬浜方面に向かうと次は「オークスカナルパークホテル富山前」になります。この電停は駅北ブールバールの東側(車道側)、カナルパークホテル前の広い歩道と車道の間にできました。ただし、岩瀬浜方面に向かう電車しか停車しません。「中町」電停と同様で一方向の電車のみの電停です。次の電停は既存の「インテック本社前」、その次が新設された「龍谷富山高校前」です。この電停は牛島新町交差点と永楽町(えいらくちょう)交差点の中間の位置にあって、龍谷富山高校からは少し離れています。正確には「前」とは言い難い場所にあります。
 料金は1回の乗車につき大人210円、子供110円。ICカードの場合は大人180円、子供90円です。障害者割引もあって、現金・ICカード共110円になります。ただし、1種・2種ともに本人は適応されますが、介護者の割引は1種のみになります。
 ICカードは「えこまいか」を電鉄富山駅などの窓口で作ることができます。初回購入額は2000円ですが、内500円はデポジットなので、1500円チャージされたものがもらえます。障害者カード・障害者小児カード・障害者介護カードがあって、これらを作るには障害者手帳の提示や書類の記入は必要ですが、乗車の際には手帳の提示は不要になります。自動的に割引料金が引き落とされます。
 また、富山地方鉄道の鉄道や路線バスでも同様に使えます。我々視覚障害者にとっては「残金の表示が見えにくい」とか「タッチする場所が車両によって違う」などの不都合もありますが、全体的には便利なものだと思います。なお、「パスカ」も使えますが、新規の販売は終了しています。
 余談ですが、障害者が単独乗車で割引を受けられることは当たり前のことではありません。大都市圏ではほとんどありません。「障害者介護カード」などは皆無です。田舎だからこそのありがたいサービスです。
 さて、市内電車のお話に戻ります。現在、市内電車には5種類の車両が走っています。これらは外観も内装もバラバラで椅子の向きやICカードをタッチする場所、降車時に押すボタン、乗車口の場所まで。全盲の方が一人で乗りこなすにはかなりの強敵です。また、電停の多くは道路の中央にあって、かなりの交通量の道路を渡らないと歩道には行けません。音響信号機どころか信号機そのものがないところもあります。以前、富山駅前で電車を降りた白杖のおじさんが赤信号で車道に出ようとしているのを止めたことがあります。あわてていたので、羽交い絞めにして引きずり戻しました。
 市内電車は環状線ができて、富山駅の南北が開通して、新しい電停ができて、ICカードが導入されて、かっこいい車両も走って、一般的に見れば便利で魅力的なものに進化してきています。一方で全盲の方が一人で利用されるにはいまだに命がけな面もあり、今後の改善は構造的にも困難でしょう。安全で利便性の恩恵を得るには同行援護従業者さんなど援護者と一緒に乗車されることをお勧めします。
 不便を訴え改善を要求することは我々の権利であり、社会貢献でもありますが、私は、安全を確保した上で現状のサービスを利用することにより、自身の経験を蓄積し世界観を拡げていかれることをお勧めします。コロナの中ではありますが、市内電車に乗ってお出かけしてみてはいかがでしょうか。

ライトセンター周辺のコンビニエンスストア

2021年6月13日
 今回は富山県視覚障害者福祉センター(以下センター)周辺のコンビニのお話です。
 5月末にセンターの向かいにセブンイレブンが開店し、以前からあったセンター北方向のヤマザキデイリーストアと合わせて2店舗になりました。
 まず、新しく開店したセブンイレブンからです。場所はセンターの向かい側、まいどはやバス西ルートの磯部町三丁目バス停のところです。敷地が広く、全盲の方の単独歩行では入り口を見つけるのも一苦労かもしれません。バス停乗り口の点字ブロックをまっすぐ(やや左寄り)に延長したところが入り口の自動ドアなんですが、その間に点字ブロックはなく、駐車場で車の往来はあります。また、このルートは15メートル程度あり、入口を外すと車止めもあります。
 さて、お店の中は、入口を入って左手にレジを見ながらまっすぐ進むと突き当たりにサンドイッチやおにぎりが並び、さらに右には弁当、総菜、チューハイ関係が続き、次の角から(南側)はビール、ジュース等が並んで最後はトイレの入口があります。つまり、入口から右へ進んだ突き当たりがトイレです。
 このように大まかには一般的な配置ですが、特筆すべきはレジです。買い物をすると支払い方法(カードとか現金とか)をタッチパネルで選びます。その後、機械に紙幣や硬貨を別々に入れると、これまた別のところからレシートが出てきます。店員さんに言えば手伝ってくださるとは思いますが、開店して間もないので視覚障害者の介助に不慣れかと思われます。濱野が行った際はとても親切にしてくださいましたが、その分、時間がかかってしまっていました。
 富山県視覚障害者協会としてはセブンイレブンの本部の責任者さんとお話しして、視覚障害者の移動の安全についてお伝えしてあります。また、今後、実際にお店で働く方にも介助の方法などのお話をしていこうと考えています。
 次に、以前からあるヤマザキデイリーストアです。場所はセンターからけやき通りを北に50メートルほど歩いた左側にあります。先日、自動車が突っ込む事故がありましたが、お店もいつもの店員さんも無事に営業・勤務しておられました。こちらも敷地は広く点字ブロックはありませんが、歩道から入り口までの距離は10メートル程度と比較的近いです。ただ、入り口正面以外にはこちらにも車止めがありますので注意が必要です。
 ヤマザキデイリーは以前からある店舗ですので利用された方も多いことと思います。ということは店員さん達もまた、視覚障害者をたくさん相手にしてきたということで、安定感があります。レジも普通に店員さんにお金を手渡す形式です。店内の配置もセブンイレブンとほとんど変わりません。
 結論として、どっちのお店がいいかは人それぞれの事情や嗜好次第かとは思います。ただ、一点、初めてのところに行く際は自身よりも見えている人と行って、ある程度の情報を得て、安全性や利便性を確認してから単独で行かれることをお勧めします。

セブンイレブンとのお話し

2021年7月21日
 今回は前々回の続き、ライトセンターの向かいに新規オープンされたセブンイレブンさんとの話し合いについてです。
 セブンイレブンさん側は地域マネージャーさん(本社の人)とオーナーさん(店長)、こちら側はライトセンターの高島所長と濱野でした。
 まず、濱野から視覚障害者特有のコンビニを利用する上での不便さを具体的にお伝えしました。例えば、商品選びや支払い機の操作などについてです。これに対してオーナーさんからは、「お困りのことがありましたら、ぜひ、スタッフに声をかけてください。お店にはいろんなお客様が来られているので、お手伝いすることには何の問題もありません。」と話されました。
 商品選びはスタッフにお願いすれば手伝ってくださるそうですし、弱視者が商品を手に取って見ることも常識の範囲内で問題ないそうです。また、レジの支払い機についてもスタッフに声をかけて、具体的にタッチパネルや支払いでサポートが必要なことを伝えてほしいとのことでした。
 5月末のオープン以来、濱野は5回ほどお伺いして、買い物をしてみましたが、スタッフさんにお手伝いしていただいて、特に困ることもなく、目的を果たすことができました。
 今後、何かしらの問題があった際は、ライトセンターとセブンイレブンの間でその都度話し合いをして、解決していくことも確認しました。当協会会員の皆様もこのお店について何かありましたら、情報をライトセンターまでお寄せください。

無人駅について

2021年10月2日
 富山県内には路面電車も含めてJR西日本、あいの風鉄道、富山地方鉄道、加越能鉄道に170を超える無人駅があります。有人駅に比べて圧倒的な数です。これらの中には駅舎のある駅もあれば、路面電車の駅もあります。
 我々、視覚障害者にとってはとても不便で危険なことです。大分県では駅無人化に反対する裁判が進められていますが、この結果が大きく影響してくると思います。障害者にとっては命の危険もあることですし、命はお金では買えないものですが、鉄道会社も公共交通機関の維持と社員の生活がかかっています。なかなか一方的には解決のつかない問題かと思います。
 障害者差別解消法により合理的配慮は義務付けられますが、これは何でも健常者並みに利用できることを保障するものではありません。まず、こちらが配慮を求めない限り、配慮の義務はありませんし、配慮の内容も一定ではありません。障害者差別解消法は我々の社会福祉を一歩前進させましたが、そこから生まれた合理的配慮は万能ではありません。我々が何に困るのかを伝え、何をどこまでなら手伝ってもらえるのかをお互いに理解しておく必要があります。
 富山県視覚障害者協会では無人駅にどんな問題があるのかを考えています。おそらく、弱視の方と全盲の方では問題点が違うと思いますし、年に数回と、毎日利用するのとでも違いがあると思います。ただ、残念ながら、それらはこちらの想像でしかないため、何といっても重要と思われる、実際に無人駅を利用されて
いる方からの情報を募集します。
 皆様の中で実際に無人駅を利用されている方、あるいは、そのような方をご存知の方がありましたら、お知らせくださいますよう、お願いいたします。頂いた情報はまとめて、各鉄道会社に改善をお願いする材料にさせていただくとともに、その結果は改めてご報告いたします。

富山県の鉄軌道

2022年1月30日

今回は富山県の鉄軌道(鉄道・路面電車ケーブルカーなど)についての話題です。
 富山県民の視覚障害者としては利便性に注目して「田舎は不便だ」なんて否定的に思いがちですが、全国的にみれば富山県の鉄軌道はバラエティー豊かで鉄道ファンの人気も高いようです。新幹線で首都圏と2時間程度でつながり、路面電車が広範囲に走り、トロッコ電車やアルペンルートのような変わり種もあります。
最近は富山駅で市内電車の写真を撮る人をよく見かけるようになりました。「撮り鉄」といわれる人でしょうか、観光活性化はうれしいのですが、ちょっとジャマです。ちなみにすべての市町村に駅があるのは全国でも富山県だけです。
 そんな富山県の鉄道・軌道のお話です。
 まずは、あいの風鉄道。「一万三千尺物語」という観光列車が走るようになりました。一万三千尺は約4000メートルで立山のてっぺんから富山湾の底までの高低差のことです。窓が大きく外向きのカウンター席がある特別車両で景色を楽しみながら、豪華なお弁当を食べるもので、富山駅を発着点に高岡駅と泊駅間を往復するものです。専門のアテンダントが付いて、多目的トイレも設置された豪華な車両、そして懐石コースか寿司コースのお弁当付きで15000円。高いか安いかは人それぞれの感性でしょうが、私には乗ってみてレポートする甲斐性
はありませんでした。
 つぎに万葉線のお話です。以前から万葉線では「声の車掌」として次の駅や周辺の観光案内を射水市出身の落語家、立川志の輔さんのアナウンスが流れていました。駅間の短いのでアナウンスを最後まで聞けないくらい尺が長いのに軽妙で、声も聞きやすく、たまにしか乗りませんが私も楽しんでいました。先日、久しぶりに乗りましたら「声の車掌」は富山市出身の声優、上田麗奈(うえだれいな)さんに代わっていました。高岡駅を出発したころは「いまどきは落語家よりアニメかなあ」とか「やっぱりオッサンよりお姉さんだなあ」とか思って楽しんでいたのですが。ほとんど駅名しかしゃべらない上に、車両が旧式で騒音が大きいので女性の柔らかい声では聞き取りづらい。これもまた、私の感性かもしれませんが、庄川の鉄橋を越える頃にはオッサンの声が恋しくなっていました。繰り返しになりますが、「富山市」出身の声優、上田麗奈さんです。万葉線なのに。
 最後は利便性委員会らしく無人駅のお話です。国土交通省「駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関する障害当事者団体・鉄道事業者・国土交通省の意見交換会」によれば、富山県の鉄軌道の駅の無人化率は70.3%で全国12位(無人化率の高い順)。これが自称「鉄軌道王国」の実態です。これには路面電車も含まれています。ちなみに全国で無人駅が一か所もない都道府県が一つあります。さて、どこでしょう。答えは文末です。ちょっと考えてみてください。
 線路があること、駅があることは利便性の向上になりますが、我々にとって無人駅が増えることは危険性が高まってしまいます。富山県には公表されているだけで一日乗降客数が100人以下の駅が34か所もあります。富山地方鉄道越中中村駅(滑川市の東端)にいたってはたった8人です。
 さて、全国的にみて富山県の駅の無人化率が高いことはわかりましたが、「それでも駅はある」と、自称「鉄軌道王国」らしく肯定的な見方もできます。問題は「その無人駅は安全か」なのではないでしょうか。無人駅の安全性が確保されて誰にでも利用しやすくなってこその「鉄軌道王国」だと私は思います。利便性委員会では引き続き無人駅の安全性について皆様からの情報を募集しています。よろしくお願いいたします。
 最後になりましたが、クイズの答えです。無人駅が一か所もないのは沖縄県です。あそこは「ゆいレール」しかないですからね。

あいの風とやま鉄道の不思議ルール

2022年3月12日

 今回はあいの風とやま鉄道の障害者割引についてです。
 本日、我が家から300メートルのところに、あいの風とやま鉄道の新駅が開業しました。新しい駅は「新富山口」で富山駅と東富山駅の間、下冨居(しもふご)にできた無人駅です。自身が利用するためにいろいろと調べたところ、あいの風とやま鉄道の障害者割引に不思議なルールをいくつか見つけましたので、まとめてみます。
 有人駅から乗車する際は有人窓口で障害者手帳を見せて切符を購入します。このとき、従来の紙の障害者手帳だけでなく、ミライロID(マイナポータル連携済み)を見せても購入できます。
 ここで不思議ルール①。ミライロIDで切符を買って電車に乗っても、車内で車掌さんに見せるのは紙の手帳でないといけません。ミライロIDで買える意味がわかりません。
無人駅から乗車して有人駅で降車する際、不思議ルール②。なんと、切符は買わずに乗車します。降車してから有人改札で手帳を見せて乗車駅を申告の上、料金を支払います。私はしませんがキセルし放題な気がします。「だったら小人切符で」と聞いてみたところ、「それはダメ」とのことでした。
 無人駅から乗車して無人駅で降車する際、不思議ルール③。小人切符を買って乗車します。だっだら、ルール②の「小人切符はダメ」の意味がわかりません。
 これらのルールは単独利用でも介護者同伴でも同様になります。私はルール②が面倒なので、富山から新富山口間の障害者割引回数券を買ってきました。3ヶ月で11回乗車するように頑張ります。
 さて、話は少し変わりますが、近距離単独利用での障害者割引は富山ではJR西日本以外で受けられます。ですから割引があって当然のように思われがちですが、都市部ではほとんどありません。例えば東京では都営の乗り物以外にはありません。田舎の富山の方が進んでいる部分です。
 各鉄道会社にとって障害者割引、特に近距離単独利用は義務ではありません。我々はルールを守る義務を果たすことで、割引を受ける権利を得ます。不便でも不思議でもルールはルールですから、面倒でも守るしかありません。ただ、現状、利便性が悪く、その必要性が理解できないのも事実です。今後、あいの風とやま鉄道様には割引いただいていることに感謝をお伝えしつつ、利便性向上のため、現行ルールの見直し、あるいは不思議ルールの必要性について、ご説明をお願いしていこうと思っています。

あいの風とやま鉄道の障害者割引ルール(確定版)

2022年6月9日

 今回はあいの風とやま鉄道の障害者割引についての続報です。あいの風とやま鉄道様にお伺いして正式なルールを明確にしました。「以前はこうだった」などのご経験をお持ちの方も多いと思いますが、こちらが確定版になりますので、以前の経験ではなく、こちらを優先してください。先方にも駅ごと・職員ごとの違いがないようにお願いしてあります。
1 通常
 駅の窓口で障害者手帳(ミライロIDも可)を提示して障害者割引切符を購入して乗車します。検札を受けることもありますので、障害者手帳は所持していてください。(この場合のミライロIDは不可)切符は1か月先まで購入できるので、あらかじめ買っておくこともできます。また、定期券や回数券にも障害者割引は適応されます。
2 例外
 無人駅から乗車する際は切符を購入せず、降車駅の有人改札で乗車駅を申告して精算してください。また、降車駅も無人駅だったり、有人駅でも職員が不在だったりの場合は運賃箱にお金を入れてください。介助者が同伴しているなどで自動券売機が使える状況でもこのルールに従ってください。
3 運賃箱とは
 運賃箱は「集札箱」あるいは「着札箱」と表記されていることもある大きな箱で、主に無人駅などで降車した後に使用した切符を納めるところです。切符もお金もここに入れます。置いてある場所は駅によって統一性はありません。有人駅でも改札に職員がおられない場合があるので、運賃箱は必ずあります。たいていはICカードをタッチする機械の近くにあります。古い駅では改札付近の壁に張り付いていることが多く、新しい駅では出入り口付近の通路の真ん中に立っています。運賃箱はその大きさの割に切符やお金を入れる口はそれほど広くないので
ご注意ください。
4 路線外
 あいの風とやま鉄道以外、IRいしかわ鉄道や越後トキメキ鉄道のように旧JR北陸本線の駅へ行く場合も、上記の1~3のルールは適応されます。ただし、高山線や氷見線のように現JR西日本の駅は障害者割引のルールが全く違いますので改めてご確認ください。
5 その他、大事なこと
 ①障害者手帳は必ず所持していてください。
 ②小人切符で代用しないでください。
 ③降車駅の運賃箱の場所は知っていると便利です。
 ④小銭の準備はあった方がいいです。

 最後になりますが、障害者割引はあいの風とやま鉄道様が提供しているサービスのひとつです。必ず上記のルールを守ってください。何かの理由で守れない項目がある場合はこのサービスを受けず、普通運賃でご利用ください。

障がい者用Suica

2023年12月15日

 今回はJR東日本の下室勝先生からご講演いただいた同社の障がい者用Suicaについてのお話しです。
 障がい者用Suicaは2023年3月18日から始まるサービスで、障がい者カードと介護者カードを1対で使うことで障害者割引を受けられるものです。障害者手帳1種の方がJR東日本のみどりの窓口で購入でき、1年ごとの更新が必要です。障がい者カードは記名ですが介護者カードは無記名なので介護者が変わっても使うことができます。ただし、使用できるのは首都圏のSuica・PASMOエリアや東北地方で、富山県内の鉄道・バスでは使えません。また、モバイルSuicaには対応していません。
 2024年春にはJR西日本から同様の障がい者ICOCAのサービス開始が予定されており、こちらは、あいの風鉄道でも使えるのではないかとのことでした。ただし、障がい者Suicaと障がい者ICOCAの相互利用の予定は立っていません。
 さて、この研修会では下室先生が私たちの質問にたくさんお答えくださいました。その中で教えていただいたことをいくつか書いておきます。
 あいの風鉄道ではやってはいけないとされた「券売機で小人切符を2枚買って改札口で手帳を提示する」方法はJR東日本ではやっていいそうです。
 また、JRの単独利用で移動距離が100キロ以内は割引対象外になりますが、あいの風鉄道やIRいしかわ鉄道も移動距離のうちに含めていいそうです。例えば、越中八尾から石川県の小松まで、JR西日本→あいの風鉄道→IRいしかわ鉄道→JR西日本と乗った場合でもすべての区間が障害者割引の対象になります。
 さて、富山県在住、単独移動の多い弱視の私としては今回ご講演いただいた障がい者Suicaを使うことはほとんどないと思います。鉄軌道王国を自称する富山県下の鉄軌道がすべて一律の障害者割引を受けられる日が来ることを願っています。そして、手元で残金などを確認できるモバイルで利用できる日が来ることを願っています。
 最後になりますが、このお話は2023年11月25日時点でものであること、下室先生はJR東日本の方で、他社の事柄については改めてそれぞれの鉄道会社からの公式発表を優先していただくことをご理解ください。

JR西日本の障害者用ICカード

2024年3月13日

 JR西日本の障害者用ICカードについてです。
以前の「お知らせ28号」でも書きました「障がい者用suica」とほぼ同様のサービスが3月16日より実施されます。障害者カードと介護者カードをそれぞれが持って自動改札にタッチすることで障害者割引運賃が適応されるものです。それぞれのカード単独での使用や乗降駅が異なる場合には使えません、ただし、障害者の単独利用でも割引が適応される路線については障害者カード単独でも使用できます。
 詳しく説明していきます。まず、名前は「スルッとKANSAI、特別割引用ICカード」です。「ICOCA」ではありません。カードは「スルッとKANSAI協議会」が発行して、JR西日本やあいの風とやま鉄道はそこに加盟する鉄道会社です。富山県の近隣で加盟している鉄道会社はJR西日本、あいの風とやま鉄道、IRいしかわ鉄道、ハピラインふくいです。富山地方鉄道や加越能鉄道は含まれていません。また、JR東日本やJR東海とも今のところ互換していません。
 カードの申し込み方法です。まず、以下のものを準備してください。
①第1種の障害者手帳の写し
②申込書
 駅窓口にあります。
③特別割引用ICカード手帳確認届
 駅窓口にあります。ただし、もらうには本人確認が必要です。
 手帳を持って本人が窓口に行ってください。
④本人確認書類の写し
 ①の手帳の写しに氏名・生年月日・現住所があれば不要です。
 以上の①から④を「スルッとKANSAI特別割引用ICカードサービスセンター」へ郵
送います。
 カード取得後は1年ごとに継続利用確認の手続きが必要になります。
 さて、このカードを使う上でのメリット、未解決問題、重大注意事項を書いておきま
す。
 メリット1
 介護者との二人利用がとても便利になります。いちいち切符を窓口で買う必要がな
く、無人駅から乗っても改札で精算する必要もありません。運賃がわからなくても残高があれば乗れます。
 メリット2
 あいの風とやま鉄道やIRいしかわ鉄道で単独乗車が便利になります。割引運賃でICカードが使えるようになります。
 メリット3
 今のところ所持するデメリットがほとんどありません。
 未解決問題
 単独利用の場合割引制度が異なるためJR西日本と他社との乗換では使えません。
おそらく使えますが、使うとマズイことになります。(後述)
 注意事項1
 このカードは関西地域など広い範囲で使えます。単独利用の場合は割引が適応される路線とされない路線が混在しています。しっかり確認してから使ってください。マズイことになります。(後述)
 注意事項2
 このカードを持っていて手帳の携帯は求められています。しかも車内検札の場合、ミライロIDは不可です。
 重大注意事項
 マズイことについてです。おそらくですが、このカード、単独利用で割引が適応されない路線でも加盟している会社であれば割引運賃で利用できてしまう可能性があります。例えば、JR西日本の氷見駅から一人で乗って、高岡駅で介護者と待ち合わせて、あいの風とやま鉄道の小杉駅で、二人で改札を出る、なんてことができてしまう可能性があります。「通れたからOK」とか「問題がないから通れたんでしょ」ではダメなんです。知っててやったら犯罪で、知らずにやっても迷惑行為です。ご注意ください。
 くわしくは「スルッとKANSAI」のホームページかサービスセンターにご確認くださ
い。
 ホームページ
https://www.surutto.com/tkwric/
 サービスセンター
 06-7730-9860

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